前回の続きです。

「ニューヨーク州の公立大学無償化を発表」のニュースが報道されました。
アメリカも日本と同じく学生が多額のローンを抱え、社会問題に発展しているからだそうです。
2012年のデータによると、アメリカは対GDP比の教育支出の割合はOECD32か国の平均値である4.7%です。それでも、若者は多額のローンを抱える結果となっています。このデータで最下位の日本は3.5%。6年連続の最下位という情けない記録を更新中です。
その上に、あろうことか「奨学金」という言葉で若者たちをローン地獄に突き落とす貧困ビジネスを国ぐるみでやっているのですから、あきれ返って開いた口が塞がりません。
ただ、権力者たちが自らの私利私欲に走り、次世代の若者の育成や、老人や女性へのやさしさ、国民の平和と幸福に全く貢献しないこの日本という国に、いくら不平不満を申し立てても何も変わりはしませんし、私たちの暮らしは良くなりません。

残念ながら私たちは日本という国に生まれました。だからこそ考えなければならないのだと思います。
ただ周りの流れに流されて生きていては、いつまでたっても人間らしい豊かな生活は送れません。それどころかもがいてももがいても這い上がれない泥沼にはまり込んでしまいます。

          なぜ高校に行くのか? なぜ大学に行くのか?

もう20年以上前のことになりますが、私は小中学生対象の学習塾を家で開いていました。
その時ある中学3年生の男子に「なぜ高校に行くのか?」という問いを投げかけてみました。すると彼の返事は「みんなが行くから」と答えたので、「そうではなくて君はなぜ行くの?」ともう一度聞くと次は「お母さんと先生がうるさいから」と答えました。
「お母さんや先生じゃなくて君は?」と私。
結局彼の答えは「わからない」でした。
彼に限らず、ほとんどの生徒がなぜ高校に行くのかなんて考えたことはないけれど、行かなきゃならないものだと思っているのでしょう。
その考え方が「高校」から「大学」へ移行し、なぜ行くのかなんて考えもせず「大学」へ行き、それでも足りないと「大学院」まで行く。今から20年後は「大学院」が当たり前の世の中になっているかもしれません
奨学金を湯水のように貸し出している「学生支援機構」の理事長、遠藤勝裕氏でさえ「近頃の親も学生も大学に行きさえすれば幸せになれると思っている」と言っているそうです。そういう考えの親や学生相手にアクドイ金貸しをしている張本人の言うべき言葉ではないと思いますが…
現在の大学の数は779校。(内、国立大学86校、公立大学89校、私立大学604校)
定員の満たない大学は生徒集めに必死で、高校に「うちの大学を受験するよう勧めてくれ」と頼んで回るというらしいです。
そうして、就職先は見つかりそうにない、かと言ってとても大学に行くような学力も向学意欲もない連中がどっと大学に流れこんで行くという構図が出来上がります。

          多額の借金までして卒業した大学。けれどまともな就職先はなし…

フィンランドに来る前、私は徳島県でユースホステルを経営していました。
ユースホステルと言うことで、たくさんの学生たちと出会いました。
そのうちの一人、仮にM君としておきます。M君は就職活動に入る前に四国のお遍路巡りをしようとやってきた大学生でした。彼は他のお遍路のおじさんたちとは世間話に花を咲かせていましたが、将来の夢とか、何を勉強したいかとか、そういう話題を持ち出すと全く話せなくなるタイプで、いわゆる何も考えずに大学に入った連中の一人だったようです。
御多分に漏れず奨学金を借りていて、卒業したらそれを返さなければならないことすら、彼は知りませんでした。
そして、その翌月に「オーストラリアの幼稚園で1週間ボランティアをする」ツアー(ツアー代金30万円)に参加の予定があると言っていました。彼の母親がそういうのに参加しておけば、就職に有利だろうとツアー会社で見つけてきたそうです。
何が悲しくて30万円も支払ってオーストラリアの幼稚園でチーチーパッパをしに行かなきゃならないんでしょう??
もう、意味不明です。
「それは立派なことをしてきたね。ぜひわが社へ来てくれたまえ」という会社があると思っているのでしょうか?
「これはいいカモになるぜ」と舌なめずりをするブラック企業はあるでしょうが…

日本の教育はこのようにものをよく考えない国民を作ってきました。
だからここまで一般庶民を無視した無茶苦茶な政治をしても誰も文句を言わない、デモひとつ起きない、安部クンが大きな顔をして君臨していられるような、国に成り下がってしまったのです。

          日本に必要な3つの大学?

2012年11月17日放送のNHKの番組の中で桜美林大学教授、諸星裕氏はこれからの日本に必要な大学は、以下の3つだと語っていました。

  1. 世界レべルの研究大学
  2. 教養人を養成する大学
  3. 「勉強のできない子」を伸ばすことのできる大学

そもそも大学とは専門的な学問研究をする場であるべき場所です。
2番の「教養人を養成する大学」までは何とか許せても、3番の「『勉強のできない子』を伸ばす」ということを高額の学費を取って大学と言う名前の教育機関がするべきことではありません。
それは義務教育の「小・中学校」がすることです。
そんなことすらしていない「小・中学校」(これは公立だけでなく私立も含めて)の怠慢以外の何物でもありません。
次に、日本とは正反対にやるべきことをきちんとやっている「フィンランドの基礎学校」について記しておきます。

          フィンランドの基礎学校

フィンランドの基礎学校は、7歳の8月に入学し基本的には9年間で卒業する。
基礎学校最終学年の9年生になると学校ごとの教科担当教師によって教科に4~10点満点で評点がつけられる。生徒たちはその成績を見ながら、進学希望の高校を第5希望まで書いて志望校に提出して合否結果を待つ。ヨーロッパの主要国で採り入れられている義
務教育修了段階での国家的な資格試験はフィンランドでは行われていない。
もし、出された評点の成績が不本意な場合や、どの高校にも入学が許可されなかった生徒は、本人の希望によりもう1年間、10年生として、無料で教育を受けることができる。授業には特別カリキュラムが組まれ、教科書も専用のものが用意される。その場合、「落ちこぼれ」といった考え方はされず、むしろ「一年多く勉強した」と見なされる。フィンランドでは、低学力の生徒への支援は徹底的に行っている。10年生の制度は彼らに修了資格と基礎学校の成績を上げるチャンスを与えている。10年生も卒業して、職業学校に入学した場合は、一年分飛び級もできる。
2002年の義務教育終了後の進路に関するデータによると、生徒の55%が普通高校に、37%が職業学校に、2%が10学年に進学し、残り6%は就職や徒弟制に入るなど何らかの社会経験を積みながら勉学を続けることを選択した。これは進学を捨てて働くという解
釈ではなく、働きながらでも成人教育機関や高校・大学で開かれる成人教育を受けたり、資格を取得したりする「生涯学習」の発想からこのように分類される。(京都産業大学文化学部 国際文化学科 今井利佳『フィンランドの教育制度』より)

          大学進学を決める前に考えるべきこと 「自分はどう生きたいのか?」

「人並み」というレールの上を何の疑いも持たずに歩いていても、人はあるときふと「このままでいいのだろうか?」という想いがわき上がる瞬間があるものです。しかし、途中でレールを降りることは、大変な勇気が要求されます。
周りの反対や、道なき道を行くことの不安で、ほとんどの人がわき上がった想いを覆い隠してまた同じレールを歩きだします。
そのレールの先に希望はないとわかっていても、みんなと同じなら安全だと思うからでしょう。
けれどそのレールは「安全」どころか「破滅」に向かっているというのに。

残念ながら私たちは、考える人間を作る教育を受けてきませんでした。
教育までもが商売と化している世の中で、流されて流されて生きてきてしまったのです。
でも、明日を担う若者に、そういう道を歩ませてはなりません。これが大人の責任です。
金儲けや、権力欲のために敷かれたレールではなくそれぞれの個人に合ったオリジナルの道を見つけなければならないのです。
他人との比較ではなく、損得勘定でもなく、「自分はどう生きたいのか?」を。
すでに様々な責任を背負っている大人にとっては、とても難しいことだけれど、これから高校や大学に進学するという若者なら、いや、若者だからこそ今、考えなければならないのです。

          どうしても大学に行きたい人は?

先ほども言いましたが、大学は勉強、研究をするために行くところです。
どうしてもこれを勉強したい、研究したいと思うものがないのなら、行くのはやめるべきです。
この若い大事な時期の時間お金の無駄です。
もしどうしても勉強したい研究したいと思う人は、海外の授業料が無料の大学に行きましょう。
フィンランドは大学院まで学費は無料です。生活費の支援金さえ出してくれます。ただ、もちろん授業は英語で受けなければなりませんし、ヘルシンキ大学の学力は京大と同じレベルのようです。
そんなの無理という人は、大学に行く必要はありません。大学に行くレベルではないということです。
また日本でも有名私学で、成績優秀な人に独自の給付型奨学金(返済不要)を支給しているそうです。
独自の奨学金制度がある大学一覧

ただこれも少数の成績優秀者が対象です。この対象外の人は、これもまた大学に行くレベルではないということですので、大学進学はあきらめましょう。また、この奨学金も全額支給しているところはわずかでほとんどが1年のうち半期分、または一部しか支給されないので、残額と生活費を支払うために「貸与型奨学金(返済必要)」を借りるのなら大学に行くのはやめるべきです。

とにかく何があっても「貸与型奨学金」に手を出してはいけません。

          大学以外の道

大学に行かないのなら、専門学校か就職か… と、そんなに急いで考えないでください。
まだまだ、長ーい未来があるのですから。

以前にも書いたかもしれませんが、東欧では職に就く前に、2年間わずかのお金で世界を旅行させるそうです。そう、バックパッカー、貧乏旅行です。そこでいろんな人と出会い、広い世界を見、命の危険にも遭うという体験の中から、人間的な成長をするのが目的だそうです。
この考えに私も大賛成です。
ただここで大事なのは、「一人」で「貧乏旅行」「自分で稼いだお金で」というのが大切なキーワードです。
当たり前の話ですが、「ツアー」や「留学セット」など全部お膳立てをしてもらうようなパック物は厳禁です。
とにかく交通費だけをアルバイトか何かで稼いで、資金が貯まったら出発です。
安い船や陸路を行けば、交通費もかなり安く上がります。

また「WWOOH(ウーフ)」というのをご存知ですか?
これはもともと有機農場主が若い人たちを育てるために始めたものらしいのですが、今は、有機農場に限らず若い人たちの力を借りたい人がホストに登録していて、ウーファーは1日6時間程度の労働力を提供すれば、ホスト側が無料で食事と宿泊場所を提供してくれるというシステムです。まず登録してウーファーになれば、ホストは世界中にあってあとは各自でホスト先と交渉して、日程などを決めます。このシステムを使えば、わずかのお金で、物価の高い国々にも滞在できるし、その国の生活に密着した体験ができます。
詳しくは、こちらをどうぞ。

また、「海外青年協力隊」という手もあります。ただこれは20歳からの募集になります。
詳しくは、こちらをどうぞ。

日本は島国のせいもあって、視野がとても狭くなっています。まさに井の中の蛙です。
とても狭い中での偏った概念だけを信じて生きているから、多額の借金をしてFランク大学に行き、ブラック企業に就職するか、自己破産、ホームレス… というようなバカげた道を平気で選んでしまうのです。
とにかく、世界を見ることです。
そして世界の視野から日本をそして自分の未来を見ることです。
フィンランドの大学は在籍している学生の年齢が17歳から30代ととても幅が広いです。
いろんな体験をした後で、真に勉強したいことが出てくることもあります。
その時に本気で大学に行くことも可能です。もちろんこの時も「貸与式奨学金」は絶対だめですよ。

とにかく人生はこれからが本番なのです。
世の中の間違った流れに流されず、しっかり自分の頭で考えて、自分の足で歩いて行ってください。